2012-01-28 09:33 | カテゴリ:横須賀
ジャンル:ニュース テーマ:フリーメイスンリー
この言葉で何を思い浮かべるでしょう。
このブログを最初から読んでいる人は「ローターリークラブのシンボル」と答えるかもしれません。

普通の人は機械を思い浮かべるでしょう。

文芸の世界では芥川龍之介の絶筆になると思います。

芥川賞が話題を提供する事に終始して作品は誰も読まないという時代が続いて久しいと思います。
芥川龍之介の絶筆は彼の最期が自殺であったことなどからも精神分析の対象ともなったりしています。彼の早すぎる死を悼んで友の菊池寛の呼びかけで芥川賞は設立されました。

さてこの歯車という作品。彼の姉の夫が列車への飛び込み自殺をしてから彼が自殺する直前までの、数多くの暗示、さまざまな周りの人たちとの華麗な交遊、そして最後は妻の呼びかけで終わるまさに神経症者の自殺までの過程がある程度リアルに描かれています。

芥川龍之介は母親が精神病院に入院していてそこで死んでいます。本人は養父母のもとに預けられ、そこで中国、日本の古典の素養を身につけ、その結果として羅生門や鼻、有名なところでは蜘蛛の糸などの短編小説を残しています。夏目漱石、森鴎外が明治の文豪で、彼らがいわゆるイギリスとドイツへの留学を通して学んだ小説という文化を日本にもたらしたわけですが、彼は夏目漱石に師事し、その後の大正デモクラシーの時代の空気を反映した、今でいえばエッセイストの様な短編小説で当時の世の栄光を勝ち得、その結果として自殺に到った、まさに日露戦争の勝利に沸く日本の空気をそのまま反映した作家と言えるのではないかと思います。

彼の作品には極めて強く東洋の古典の素養が反映されているわけですが、実は彼の実家自体が隠れキリシタンの家系であった話があるらしく、また将軍家のお茶や雑事を行う家柄であったそうで、彼自身も特に歯車の作品の中ではキリスト教への接近が感じられます。
彼の名前の龍之介は辰年の辰の日の辰の刻生まれに由来するそうで、十二支の唯一の神獣である辰に由来するまさに東を背負って小説という西欧からもたらされた文化を咀嚼しようとしていたものかと思われます。

彼と同時代の人では歯車にも出てくる「暗夜行路」の島崎藤村、白樺派の人々、そのうちには稲村ケ崎の話で触れた有島武郎などがいるでしょうか。いずれもキリスト教の影響が強く認められるのが大正時代の特徴ではないかと思います。

さてこの「歯車」という作品なのですが、小品なので一読されるとよいかと思われます。聖書よりはかなり読みやすいのではないでしょうか。気取った大正の空気が濃密に感じられ、現代の平成の世との強い相似を感じられれば十分なのではないかと思います。

この作品中にはさまざまな暗示、ほのめかしや繰り返される言葉が認められます。そしてそれらが神経症である作者を苦しめていると表現されています。もちろんそれは漱石やトルストイの長編小説の様な厳しさや平易な日常が描かれるような日常性は薄く、むしろ現代の都会的な浮ついた甘えたそれでいて無為で表面的な、大正時代の最先端の流行作家の内省に近い心模様が描かれています。それぞれの暗示やほのめかしについて全ての由来を述べることは難しそうですが、フリーメイスンリーに関係のありそうなものだけピックアップしていく事にしましょう。

まず題名の「歯車」ですが、これはあまり象徴的な光景ではなく、一種の片頭痛の前兆のような形で出現します。ただし題名にも歯車と採用され、その当時恐らく日本にあった彼が接近しうる一番のフリーメイスンリー関連の存在は歯車に象徴されるロータリークラブであった事は間違いないでしょう。京都の市章に象徴されるように、ロータリークラブの存在は日本の仏教や伝統とフリーメイスンリーをつなぐ歴史の上で重要な役割を果たしている事は疑う余地が無いようです。

スリッパが起きると無くなるという逸話があります。ホテルで寝ている間にスリッパの片方が無くなり、給仕に探してもらうとバスの部屋にあったという話です。これに彼は自身が夢遊病の様にギリシアの王子の逸話の様に自らが寝ている間に動いているのではと不安になるようです。これには後に大きなネズミが出てきてネズミが動かしたのではないかという答えの様な表現があります。
小説中では連関させていませんが、彼がそこまではっきりと認知していたかは不明です。その頃にはだいぶ多くの睡眠薬を飲んでいたようです。

スリッパは実はフリーメイスンリーの友愛の象徴です。実はこの作品中に認められる最大の象徴かもしれません。いずれにしても武家の家系に生まれた彼が流行作家になってホテルでスリッパをはいた生活をしているというのはまさに大正ロマンを感じさせる逸話だと思われます。

さて最初に義兄の死とレインコートの逸話などがあるのですが、これは直接はフリーメイスンリーのシンボルとは関係なさそうです。一つの死との関連の象徴かと思われます。ひげが父性との関連など精神分析学的にはいくつもの象徴が認められそうです。

フリーメイスンリー関連ではその後ナポレオンの話が出てきます。最後に幽閉されたセントヘレナ島の話が出てきます。またその後ベートーヴェンの話も出てきます。ベートーヴェンも痔で坐浴をしていたという話が出てきて、その直後にモールmoleもぐらという言葉が電話を通して語られます。
moleにはスパイという意味もあるそうすが、恐らくここはベートーヴェンの話の直後なのでモーツァルトだと思います。彼は結局モールからフランス語のラモールを連想し、死に近づいていきます。
彼の中ではアメリカ人、フランス人、ドイツ人、その他日本人の多くの人々がささやき、ほのめかし、彼を落ち着かせ不安にさせ、結局彼は死に近づく事になります。

後半になり彼は聖書会社の屋根裏に住む老人に近づき、一角獣と麒麟の相似を思います。自らが麒麟(坂本龍馬の逸話で有名ですね。)に例えられた話を思い出します。一角獣はオベリスクのモチーフでしょうか。彼は光と闇の話を老人とし、結局ドストエフスキーの罪と罰の作品を借りて帰ります。ドストエフスキーも恐らくフリーメイスンだと思われます。当時のロシアは知識階級や貴族階級はほとんどがフリーメイスンであったそうです。 文中引用すると、僕はこの屋根裏の隠者を尊敬しない訣には行かなかつた。しかし彼と話してゐるうちに彼も亦親和力の為に動かされてゐることを発見した。とあり、彼との出会いがフリーメイスンリーに関わるものであった事を彼自身自覚していたようです。結局この罪と罰の読み始めた項目はカラマーゾフの兄弟の乱丁で悪魔に苦しめられるイヴァンを描いた部分だったようでまた彼は苦しみます。彼はその後ウイスキーの銘柄のBlack and Whiteから白と黒のシンボルにとらわれます。これはもちろんフリーメイスンリーのシンボルですね。その後彼はストリントベリと同名のスウェーデン人が白と黒のネクタイをして居るのを見かけます。スウェーデンは有名なフリーメイスン国家です。これは鎌倉でしょうか。もしくは藤沢鵠沼かもしれません。恐らく鎌倉だと思われます。その前に喜雀堂に入るというのもあります。これは小雀局とは関係ないと思いますよ。

いずれにしても自ら選択した死を目前としたこの大正の文人の周囲に現れる事象や人々は非常に国際的であり、さまざまな暗示を投げかけ、彼自身がそれを悪魔や死として受け止め、自ら死を選択していくのです。最後には彼は妻に声をかけられ、お父さんは死にそうな気がすると言われ小説は終わります。彼の妻の父親は日露戦争で戦死した海軍軍人でした。

芥川龍之介は帝国大学卒業後三笠公園の隣にあった海軍機関学校で英語教師として就職し、そこで羅生門を出版し作家としてデビューしました。現在海軍機関学校跡は横須賀学院となっています。


Virtus Junxit Mors Non Separabit


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