2013-07-07 07:07 | カテゴリ:キリスト教
ジャンル:ニュース テーマ:フリーメイスンリー
アヴェ・マリアというとカトリック信仰の象徴と思われるわけですが、最も有名なシューベルトのアヴェ・マリアの曲は実はミサ曲ではなくブラザーサーウォルター・スコットの詩集「湖上の美人The Lady of the Lake」のアヴェ・マリアで始まる部分のドイツ語訳に作曲したものでした。

以下ウィキペディアから引用です。

この歌曲は、しばしば《シューベルトのアヴェ・マリア》と呼ばれている。しかしながら元々この曲は、ウォルター・スコットの名高い叙事詩『湖上の美人』(『湖上の麗人』、The Lady of the Lake)の、アダム・シュトルク(Adam Storck)によるドイツ語訳に曲付けされたものであり、したがってシューベルトの《歌曲集『湖上の美人』》(Liederzyklus vom Fräulein vom See)の一部を成しているのである。
スコットの詩における「湖上の貴婦人」ことエレン・ダグラスは(スコットランドはハイランドの人で、この「湖」とはロホ・カトリーン(Loch Katrine)のことを指している)、父親とともに、城主である王の仇討ちから逃れるために、「ゴブリンの洞穴」近くに身を隠している。ダグラス親子は、王に追放されてからこの方、ハイランドの族長であるロデリック(Roderick Dhu)に匿われてきたのであった。エレンが、聖母マリアに助けを求めて祈りの言葉を口ずさむと、その声は、氏族を戦いへと鼓舞せんと山深いところにいたロデリックの耳元にも届いた。
《エレンの歌 第3番》は、オーストリアの寒村シュタイレク(Steyregg)にあるヴァイセンヴォルフ伯爵夫人ゾフィーの居城で初演されたため、後にこの伯爵夫人自身が「湖上の美人」として知られるようになった。
この歌曲の開始の文句で反復句である「アヴェ・マリア」(ラテン語で「めでたしマリア様」)は、シューベルトの旋律に、ローマ・カトリックに伝統的なラテン語の典礼文を載せるという発想に行き着いた。こうしてシューベルトの旋律にラテン語典礼文を載せて歌うことは、現在しばしば行われており、そのためシューベルトが素より典礼文に曲付けして、《アヴェ・マリア》という宗教曲を作曲したのだと誤解される原因となった。

Storck's translation used by Schubert
Ave Maria! Jungfrau mild,
Erhöre einer Jungfrau Flehen,
Aus diesem Felsen starr und wild
Soll mein Gebet zu dir hinwehen.
Wir schlafen sicher bis zum Morgen,
Ob Menschen noch so grausam sind.
O Jungfrau, sieh der Jungfrau Sorgen,
O Mutter, hör ein bittend Kind!
Ave Maria!
Ave Maria! Unbefleckt!
Wenn wir auf diesen Fels hinsinken
Zum Schlaf, und uns dein Schutz bedeckt
Wird weich der harte Fels uns dünken.
Du lächelst, Rosendüfte wehen
In dieser dumpfen Felsenkluft,
O Mutter, höre Kindes Flehen,
O Jungfrau, eine Jungfrau ruft!
Ave Maria!
Ave Maria! Reine Magd!
Der Erde und der Luft Dämonen,
Von deines Auges Huld verjagt,
Sie können hier nicht bei uns wohnen,
Wir woll'n uns still dem Schicksal beugen,
Da uns dein heil'ger Trost anweht;
Der Jungfrau wolle hold dich neigen,
Dem Kind, das für den Vater fleht.
Ave Maria!

Hymn to the Virgin
Ave Maria! maiden mild!
Listen to a maiden's prayer!
Thou canst hear though from the wild,
Thou canst save amid despair.
Safe may we sleep beneath thy care,
Though banish'd, outcast and reviled -
Maiden! hear a maiden's prayer;
Mother, hear a suppliant child!
Ave Maria!
Ave Maria! undefiled!
The flinty couch we now must share
Shall seem this down of eider piled,
If thy protection hover there.
The murky cavern's heavy air
Shall breathe of balm if thou hast smiled;
Then, Maiden! hear a maiden's prayer;
Mother, list a suppliant child!
Ave Maria!
Ave Maria! stainless styled!
Foul demons of the earth and air,
From this their wonted haunt exiled,
Shall flee before thy presence fair.
We bow us to our lot of care,
Beneath thy guidance reconciled;
Hear for a maid a maiden's prayer,
And for a father hear a child!
Ave Maria!

サーウォルター・スコット「湖上の美人」第三曲29 佐藤猛郎訳

聖母への讃歌

「アヴェ・マリア!優しい乙女!
 乙女の祈りをお聞きください!
あなたは荒れ野の果てから聞くことが出来、
 絶望の淵からも、救うことがお出来になる。
追放され、見捨てられ、罵られても、
 あなたに見守られて、私達は眠ることが出来ます。-
聖女よ!乙女の祈りを聞いて下さい、
 御母(みはは)よ、乙女の願いを聞いて下さい!
                      アヴェ・マリア!

アヴェ・マリア!清らかな乙女!
 あなたのご加護があるならば、
私達が今、共に身を横たえる冷たい石の寝床も、
 まるで羽毛のしとねのように思えるでしょう。
あなたの微笑みがあれば、暗い洞窟の重くるしい空気も、
 芳香に満たされることでしょう。
ですから、聖女よ!乙女の祈りを聞いて下さい、
御母よ、幼子の願いに耳を傾けてください!
                   アヴェ・マリア!

アヴェ・マリア!汚れを知らぬ乙女!
 地上と空中に棲む汚らわしい悪鬼どもは、
高貴な美しさに満ちたあなたを目にすれば、
 棲(す)み慣れたこの洞穴から逃げ出して、姿を消すでしょう。
あなたのお導きとあれば喜んで、
 私達はつらい運命を堪え忍びます。
乙女のために、乙女の祈りを聞いて下さい、
 父のために、幼子の願いを聞いて下さい!
                   アヴェ・マリア!」

ミサ曲の原文となるアヴェ・マリアの祈祷文についてはウィキペディアを参照してください。最近多く歌われるようになったカッシーニのアヴェ・マリアは偽作のようです。その辺りもキリスト教信仰の象徴としてのアヴェ・マリアとしていろいろ背景があるようです。
シューベルトのアヴェ・マリア(詩はブラザースコットの湖上の美人)

シューベルトのアヴェ・マリアに祈祷文のアヴェ・マリアを合成したもの。

こちらもそれです。やはりイタリアではそうなるのでしょうが、やはり詳しく聞くと違和感があります。

こちらは日本語訳も出ています。

マリア・カラスの独唱です。もちろん詩は元のブラザースコットのものです。(10/25追記:Barbara Bonneyという方の歌唱だそうです。)

ちなみにこちらが偽作とされるカッチーニのアヴェ・マリアです。ソ連の作曲家の作品のようです。

ブラザーサーウォルター・スコットの作品についてもいずれ読む機会があればコメントしていこうかと思います。

まったくの妄想ですが、現在の日本の安倍首相の二度目の総理大臣就任後の復活劇もこのマリア信仰に基づくアヴェ・マリアが関係するかもしれません。
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