2013-10-14 11:13 | カテゴリ:本について
ジャンル:ニュース テーマ:フリーメイスンリー
これについてはどうも私はその時に全然ブームに乗れなかったのを自覚していてあまり乗り気ではないのですが、要するにシオン修道会という架空の組織が概念上のフリーメイスンリーに相当するという事のようです。

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ダン・ブラウン

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10年前のものになるのですね。私も最近になってこのブログでロスリン礼拝堂などについて書いて初めてその後にダ・ヴィンチ・コードについて読んだ質でして、もちろんテレビでやっていたなんだか話が繋がらないような映画版については見ていたのですが、ダ・ヴィンチの最後の晩餐のシンボルの∨と∧の組み合わせについては納得していたというところで、それが直接ユダヤ教やフリーメイスンリーとは繋がらなかったのですが、旧約聖書も通読して、フリーメイスンリーについても大体理解したところで、ああそれでそういうシンボリズムなのだなあと若干理解されてきたところでしょうか。当時はまだマグダラのマリアとの結婚とか、イエスは実在して教団を形成していたとかいう話がナショナルジオグラフィックでも盛んにやっていた時代で、聖書も手に取ってみた事もなかった頃でしたので、欧米はそういう話が好きだなあとか位にしか思っていませんでした。

そういうわけで、当時にこの英仏のフリーメイスンリーのエッセンスを詰めこんだような作品に嵌った人は多かったようで、私も改めて読みやすいこのブラザーダン・ブラウンのシリーズを読んでみて、特に黄金比の辺りの解説は非常に分かりやすく、ああそれでこう言う等比級数というかフィボナッチ数列なんだなというのが良く分かったりと、読んでみて色々得るところも大きかったわけですが、いかんせんその他のフリーメイスンリーの本で得た知識でもってルーヴルを巡り、ロスリン礼拝堂も巡ってしまった身としては、どうもああこの人はフリーメイスンという設定なんだなとか、上述のシオン修道会というのがフリーメイスンリーに当たるんだなとか、要するにこれはロスト・シンボルとストーリーとしては一緒なんだが、もう少しぼかした話で、ロスリン礼拝堂のシンクレア家について書いていて、またあまりにブームにし過ぎて色々とイングランドグランドロッジの関連で物議をかもしだしたのだなという事も想像されたりしました。
恐らくこのブログで書くことを要求されているのはダ・ヴィンチ・コードの出来栄えの評価やフリーメイスンリーへの貢献具合というところになるのかと思います。ストーリーや構成はロスト・シンボルとは異なりかなりエキサイティングなヨーロッパの貴族社会への憧憬を抱かせる内容で、かなり優雅で安定してしまったそういう中でなんとか面白い話題を作ろうというところで、きっかけとしてダ・ヴィンチの謎解きや暗号の話などが出てきたという印象になっているところでしょうか。ストーリーは結局のところ元ネタの本がテンプル騎士団とシンクレア家、ロスリン礼拝堂との繋がりを示唆するものであるだけに、そこのところでスコットランドのフリーメイスンリーとイングランドのフリーメイスンリーとフランスのフリーメイスンリーとを繋ぐ話であるというところなのだと思いますが、実際のところはそれらがローズラインのダジャレで無理やりつなげられているというか、まあストーリー的には無理やりイエス・キリストの末裔という話でまとめられているというところになるのでしょうか。その続編としてのロスト・シンボルで聖書を読むことを勧めていた事とそれが繋がるのだと思いますが、まあダ・ヴィンチ・コードを読んでロスリン礼拝堂を巡る人が増えたというのが事実なようで、私自身も映画を見ていなかったら巡る事は無かったかと思いますので、結果的に影響力はそれなりにあって、ただ結局聖書の理解の話とは別のイングランド、スコットランドで宗教改革の後にどうしてフリーメイスンリーが生じたかの漠然とした理解というだけであって、体系的なキリスト教、ユダヤ教の理解というところにはなかなか結びつかないところがあったかと思われます。
ダ・ヴィンチ自体に対する評価は昨今一定している状況のようですが、果たして洗礼者ヨハネとキリストの関係の絵画にしても、どこまで聖書やユダヤ古代誌の原典について知識を得ていたかは疑問であり、万能の天才といってもそこまでの理論や理屈を当時に持てていたわけではないというのが、さすがに情報化社会の現代からは垣間見え、恐らく彼よりも彼に対して知識を与えていたカトリックの司教たちがそれらの水準を維持していたのであり、それこそが現代のカトリックについても言えるものなのではないかと思われました。この小説でもオプス・デイなるカトリックの付随団体の組織が出ていましたが、その前作の天使と悪魔ではカトリック内部のコンクラーベの話であったと思いますし、現在出版されて翻訳を待っているインフェルノもカトリックの3のシンボリズムに繋がる神曲にまつわる話のようですし、やはりキリスト教世界の情報の中心としてカトリックの部分は外せないというのは現在でも変わらないもののようです。

いずれにしてもダ・ヴィンチ・コードがルーヴル美術館を始めとしたダ・ヴィンチ作品の知名度をより高め、その価値を再認識させたことと、またニコラ・プッサンなどの寓意画の知名度をより高めたこと、ロスリン礼拝堂を始めとした、テンプル寺院などのフリーメイスンリー関連施設の知名度を上げて、フリーメイスンリーの存在を際立たせた事は確かなものなのだと思われます。

ロスト・シンボルのようにより直接的にフリーメイスンリーと現代アメリカを繋げるもののような話ではありませんでしたが、キリストを始めとした聖人伝説の謎ときとかつてまことしやかにささやかれた聖杯伝説といういわゆる聖遺物伝説のストーリーを通して、宗教的情熱と近代社会の成立が様々にリンクするヨーロッパの近代史を感じさせるものであったかと思います。恐らくシンクレア家の設定である、ロスリン礼拝堂の管理人一家の悲劇の話というのが、実際のシンクレア家の近代になってからの浮沈というところで、結果としてロスリン礼拝堂の整備が進み、またダ・ヴィンチ・コードの元ネタの作者の方が今年になって亡くなるという事にも関係してくるのかもしれません。日本で言うと奈良や京都、さらには九州地方を含んだ卑弥呼伝説や大和王朝の話、平安王朝の時代の権謀術数の話のような、複雑でロマンに富んだ、それでいて実際の現代にも確実に繋がるストーリーを様々に架空の話を絡めて紹介するようなそんな物語なのだと思います。
しかしまあわずか十年とはいえその後の特にロスト・シンボルのインパクトに比べると隔世の感は否めず、またヨーロッパというのが実際に行くにしても文化的にも日本からは遠いというのが実感で、まあ憧れを抱く人が多いのは分かるのですが、実際のところはそういう礼拝堂の整備の話や観光資本の話であったりという下世話な世界が感じられる、まあフリーメイスンリーというかなりコアな部分をふわふわとした綿菓子で包んだようなそんな印象の話でしょうか。実際このブログでも取り上げたようなルイ14世の話やフランス革命の話、スコットランドの王権の話など恐らく研究者が黙っていられないような話を数多く含ませればそれはそれでかなり興味深い話となったのでしょうが、そこまでしたら恐らくダ・ヴィンチ・コードブームのような爆発的な流れは困難であると見切って、オプス・デイに悪役を担わせたかなり単純なストーリーとして明らかにフリーメイスンリーのシンボルであるルーヴル美術館のピラミッドとスコットランドフリーメイスンリーの発祥の地であるロスリン礼拝堂をなんとか結びつけて、フリーメイスンリーの発祥と英仏フリーメイスンリーの繋がり、カトリックとの相反関係を醸し出そうとしたのかと思われます。実際日本でもあれを読んでグランドロッジに問い合わせる人が多くいたという事ですが、実態のフリーメイスンリーを見た際にヨーロッパの貴族社会とはかけ離れたそれを見て困惑したのではないでしょうか。まあ自家用ジェットで英仏海峡を渡るフリーメイスンもいるんでしょうが、全員がそんな感じであれば自家用ジェットがそこらじゅうにありますから。

まあしかしあれを読んでからロスリン礼拝堂を巡ったりした方は幸せな人でしょうね。ロスリン礼拝堂を見てからあの本を読んだ私は本当に不幸だと思います。まあロマンがあろうが無かろうが現実は一つという事でそういうのも善し悪しなんだと思いますが、フリーメイスンリーは実際にはロマンより現実に拘るものという事でなかなかまあ実際には色々あるダ・ヴィンチ・コードというところでしょうか。

だけどまあ当時はイエス・キリストが結婚していて子供がいたなんてストーリーはそれなりにインパクトがある時代でしたが、当時でも結婚してたかどうかはともかくとしてそもそも作り話なんじゃないのというのが率直な感想であったわけで、実際に聖書を読んだりユダヤ古代誌を読んでいる今となっては、2000年前の時代という日本にまだ文字も文明もなかった時代にこれだけ正確な記述がなされているという事のインパクトが絶大であり、それをまた大多数の人が認識していないというか読んでいないという現実がすさまじく、西欧文明の文字の文明の歴史というのに圧倒されたというのが正直なところでしょうか。やはりそういうところの反省を踏まえてロスト・シンボルではもう少し情報を増やしたのだと思われます。ロスリン礼拝堂にしても聖書の情報を踏まえなければやはり色々な造型に彩られた単なる礼拝堂にすぎませんからね。まあロスト・シンボルの現代アメリカに繋がる内容は強烈なインパクトがあり、あれ以上のものは無いと思われます。ブラザーダン・ブラウンの功績としてはそちらでしょうし、未だ映画化がされないのはそういう文字の力の証明なんだと思われます。ダ・ヴィンチ・コードは極めて強く映像化にこだわった物語のため、ちょっとストーリーが飛び飛びでいい加減なものになっているのかと思われました。それはすなわち強く観光とも結びついているのだと思われます。

私としてはこのブログとともにロスリン礼拝堂についてはテンプル騎士団とフリーメイスンリーについて書かれた本(テンプル騎士団とフリーメーソン―アメリカ建国に到る西欧秘儀結社の知られざる系譜)をお勧めしますが、確かにブラザーダン・ブラウンシリーズは読みやすいので読めますが、頭に残像のようにしか残らないと思います。まあこのブログもそのきらいがあるかもしれませんね。
(読んでいて気になったのが、ウェストミンスター寺院のチャプターハウスで対決するシーンがあったと思うのですが、あの辺りにフリーメイスンリーの源流を求めるイングランドグランドロッジの意向なのでしょうか。ニュートンがフリーメイスンであったかどうかについても取り上げたいかと思います。)
動画があったので貼っておきます。

【洋画】 ダ・ヴィンチ・コード (2006字幕)1_3 投稿者 colocolococolo

【洋画】 ダ・ヴィンチ・コード (2006字幕)2_3 投稿者 colocolococolo

【洋画】 ダ・ヴィンチ・コード (2006字幕)3_3 投稿者 colocolococolo

(追記:昨日2013年10月13日はユリウス歴とグレゴリオ暦の違いがあれ、1307年10月13日の金曜日にテンプル騎士団がフランス王フィリップ4世の謀略によって壊滅に追いやられた日から706年の記念日であったようです。だから2つも記事を書いたわけではないでしょうが、2013.10.13自体も31013の回文数になっていることもあり、重要な記念日であったようです。)

(追記:クリプテックスの暗号がAPPLEであったのは知恵の実の意味と現在のiPhoneやiPadのメーカーであるAppleにも掛けているのでしょうね。スティーブ・ジョブスが亡くなり、ブラザースティーブ・ウォズニアックも経営とは関係ないとはいえ、聖書を読むには最適なデバイスがこのAppleの端末といえそうです。また映画では特に最後までマグダラのマリアに拘っていたようでしたが、要するにフランスフリーメイスンリーの象徴がマリアンヌで女性を象徴とするところに掛けているのだと思います。まあ色々フリーメイスンリーの綱引きみたいな結果なんだと思われます。)
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